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子宮に沈める【映画】

新宿にあるK's cinemaにて「子宮に沈める」を観てきました。

大阪二児遺棄事件を元にした映画で、題名は「母親たちが社会が期待する『母性』によって苦しめられている」という意味から来ているそうです。今までで一番衝撃を受けた映画になりました。終わった後の映画館には物音一つ立ちませんでした。

【概要】

優しそうな母親が幼い姉と弟の2人を優しく毎日世話するシーンから始まる。笑顔で愛情たっぷりに子供の相手をする母親であったが、夫は家を空けてばかりで帰って来なかった。母親は毎日夜遅くまで資格勉強や子供のマフラーを編んだりしながら、頑張っていたが、ある日久しぶりに帰宅した愛する夫は家を出て行ってしまった。


それからは生きていくために仕事をしながら、子育てもしなければならなくなった。仕事や子育ては大変で思うように行かないことも続き、ストレス解消に酒、タバコ、男に走るようになり、生活リズムも乱れていく。浮気相手にも大切にされるわけでもなく辛く孤独な日々が続くと、母親の中で何かが切れてしまい、子供を部屋に閉じ込めたまま自宅に帰るのをやめてしまった。


子供達はそんなこと露知らず母親が帰ってくることを待ちながら生活する。姉は弟のためにミルクを作ったり、あやしてあげたりしながら、必死に生きるが何日も過ぎると食糧は底をついてしまう。数日後弟は死んでしまうが、何が起きたかよくわからない姉は、暗闇の中無邪気に弟の誕生日をお祝いする。


それから数日たっても一向に母親は帰宅しない。弟の死体にウジやハエが湧く中、姉はマヨネーズや粘土の他、ゴミ山からも食べられるものは何でも食べて何とか食い凌いでいた。外にもトイレにも行けず、孤独な日々を送る。


ある日遂に母親が帰ってきた。しかし母親は無邪気に喜ぶ姉を尻目に、淡々と死んだ目をして、家のゴミや子供の死体を処理していく。そして最後には生きている姉を殺してしまう。


全ての処理を終えた母親であったが、子供のために作ったマフラーだけは捨てられなかった。2人の子供だけでなく、お腹の第三子も殺してしまった後、母親は後悔からか絶望からか号泣する。


最後に母親の手編みのマフラーがかけられた、子供2人の遺体が並んだシーンが映されて映画は終了する。

【感想】

観ている最中から、辛くて辛くて逃げ出したくなるような映画だった。あんなに良い母親だったのに誰にも支えてもらえない状況に追い込まれて、最後には糸が切れてしまった。


お弁当、お出かけに、夜泣きなど子育てはとてつもなく大変だということがよくわかった、そしてそれを一人で抱え込むことなどは絶対にできない。子育てのストレスだけでも耐え難いものがあるのに、全てが上手く行かなかった母親は人がすっかり変わってしまった。


最後のシーンでは愛情がまだ残っていた母親の後悔の叫びが痛いほど伝わってきて、誰が悪かったのか、どうしてこうなってしまったのか自分でもよく分からずひたすら辛かった。


また、置いて行かれた子供の描写も辛かった。弟思いの健気な姉がトイレにも行けない状況の中、飢えを凌ぐためにマヨネーズや粘土や腐った食べ物を口にしていたのは壮絶だった。弟の死体にはウジやハエが湧き、腐臭も酷かった。子供を放置して死なせた事件の裏にはこういった悲惨な状況があるということなのだろう。


あとは個人的に母親が家で男とセックスをしたのを子供が見ていて真似をするシーンに心が痛んだ。いくら大丈夫だと思っても絶対に見せてはいけない部分なのだろう。仮に姉が生き延びてもその後のトラウマにつながることになっただろう。


夫の協力が無かったこと、別れてしまったことが主な原因だが子供に責任はない。ただ、母親だけが悪かったのかというと全くそんなことはない、母親のみを責めることなど一切できない。責任は夫にもあるが、子供のために好きでもない人とずっと一生いなければならないのかと言われると正直よく分からない。そもそも、夫婦のみに責任を押し付けて、そこに社会が関わろうとしない限り悲劇は繰り返すだろう。


結婚も出産も大いなる責任を伴う、自分だけでなく他の人生を預かるとてつもなく大きな決断だ。世の中の人が「結婚して子供産んで、幸せになりたい」と簡単に言っているほどそれらが甘くないことは自明だが、本当に大変で重要な意思決定だと心から思った。単なる離婚なら構わないが、子供を巻き込むようなことは本当にして欲しくない。皆にも人の命を預かる、人生を左右するような重い決断だってことを分かって欲しくなった。


ただ、こんなに大変だということがわかった上でも自分は結婚にも子供を持つことにも憧れがあるし、それらが自分が幸せになるための道だという「幻想」を抱いて生きたいと思っている。だからこそ、「幻想」を「現実」に変えるために、きちんと相手を選んだ上で努力するし、誠実でいるし、やれることはなんでもやろうと思った。誠実でいることは大変だけど、実は幸せにつながっていて、誠実だからこそ楽に生きられると信じているので。





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