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ノモンハンの夏【書評】

半藤一利氏著『ノモンハンの夏』を読みました。

【概要】

満州国の地方にある何の重要性もないノモンハンにおける国境紛争が、どのように悪化し大規模戦争に至ったかを描いた歴史小説でした。参謀本部と関東軍作戦かと現場において協調ができなかったことが大きな原因で、紛争悪化と日本の惨敗を招きました。

以下ノモンハン事件の原因・敗因分析としてとてもまとまっており、本書の要約としても機能するので、事件後の研究会で三嶋大佐が行った率直な陳述をご紹介します。(本文中に記載、楠裕二氏の著書より転載とのことです)
(1)ノモンハンで戦わなくてはならない必然的な理由がなんなのか、結局わからずじまいに終わった。

(2)指揮命令の失態、軍事的失敗は下級部隊ではなく、上層部にある。作戦はあまりに煩雑な指揮命令系統と、必要以上に多数の高級将校を経由しなくてはらなかった。

(3)日本軍の装備・組織が不適格であった。とくに、輓馬を使うにいたっては論外である。軽傷を負っただけでも輓馬は役をしなくなる。

(4)広漠たる平原では機動性が決定的に重要である。自動車化が必要である。

(5)(6)不明

(7)ソ連軍を甘く見た。中国船の経験は通ぜず、日本軍は「煉瓦の壁」に突き当たった。

(8)結論として、武士道精神がノモンハンでは間違って解釈されていた。指揮系統という大動脈に地が通っていなかった。何事も公式的、事務的で温かみがなかった。

【気になったところ】

・辻正信の発言「戦争というものは勝ち目があるからやる、ないから止めるというとのではない(略)勝敗を度外視してでも開戦にふみきらねばならぬ。いや、勝利を信じて開戦を決断するのみだ」
→参謀の言葉とは到底思えない。このような根性論を持ち出す人間は参謀になるべきではない、精神論は弊害が多い

・半藤一利の辻正信評「議員会館の一室ではじめて対面したとき、およそ現実の人の世には存在することはないとずっと考えていた『絶対悪』が、背広姿でふわふわとしたソファに座っているのを、眼前にみる思いを抱いたものであった。」

→辻政信は本書を読む限りとてもひどい人物であるが、絶対悪と言い切るこの評価は痛烈。

【所感】

・昭和天皇は政治的発言や介入をしていた

・現場の暴走ほど厄介なものはない、指揮命令系統との徹底は死活的に重要

・情報収集の必要性。ソ連への侮蔑的な見方、思い込みが悲惨な結果を招いた。ファクトとロジックを元にしない意志決定は、方向性を見失わせその後の方向転換も難しくしてしまう

・戦力の逐次投入は最低

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