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実際の動画は、タカシが部屋で女装してくシーンから始まる。タカシは女装が終わった後、より女性に近づくために、生理マシーンを装着して女友達と遊びにく。プリクラを一緒に撮って楽しんだ後、外を歩いている時にタカシは生理痛に耐えられずしゃがみこんでしまい、トイレにかけこむ。生理痛と生々しい血の滴りを感じながら、タカシは顔を歪めてもだえる。そして、最後には楽しそうに女友達とカラオケを歌っているシーンが移り動画は終了する。歌詞は「生理マシーン」からタカシへ向けた、「女性がどういうことを体験してるか知りたいんでしょ?痛いでしょ?辛いでしょ?でも知りたいんならきちんと体験しないとね?」といった挑発的なメッセージである。
「ボクはオンナノコになりたい、オンナノコの気持ちをもっと知りたい!」ーーそんな想いから、こっそり女装を始めるようになった不思議少年<タカシ>。 しかし彼は女性的な外見を装うだけでは満足出来ず、 女性特有の生物現象である<月経/Menstruation>までも 身に着けるために<生理マシーン>を作る。 女性の平均月経量である80mlを5日間かけてタンクから流血し、 下腹部についた電極がリアルで鈍い生理痛を装着者に体感させる<生理マシーン>。タカシはそれを自ら着けて友人と夜のまちへ出かけるが...!?(Sputniko!公式サイトより)
そこで他にどんなシュチュエーションが想定できるかを考えてみた。例えば、上述のテクノロジーによって生理が無くなった世界で自らの身体性や性をを確認したくなった時。閉経した女性が若き頃の体験を思い出すため。女性の気持ちを理解するために保健体育で、男子につけさせるため。生理が来る前の女の子に、その大変さを思い知らせてきちんと準備させるため。小学校高学年の生理が早い子と遅い子の間で扱いや、知識が変わらないように調整するため。色々なパターンが思いついたが、どれも生理とは何かという答えにはなっていない。”そうですね。例えば「生理マシーン」は男性用だけじゃなくて、もし未来に生理という現象がなくなったときに、女の子たちが自分のアイデンティティを確認するために装着するというシチュエーションも想定しているんです。だから、「生理マシーン、ユミコの場合。」とかも作りたい。そうやって同じコンセプトで曲をたくさん作るということもやっていきたいですね。”(PUBLIC-IMAGE ORG より)
先月行った東京都現代美術館のうさぎスマッシュ展に行きスプツニ子!なる人物を知ってとても作品が面白く、流れていた音楽が中毒性が高くハマってしまった。色々調べていたところ丁度情熱大陸でもとりあげられ、本も発売され、一躍時の人のようになってきているようだ。
「ムーンウォーク☆マシン、セレナの一歩」(うさぎスマッシュ展に展示中)
そこで何回かに分けてスプツニ子!についてブログを書いてみようと思う。まず初めは簡単なプロフィールと基本的なスタンス、考え方をとりあげる。次回以降作品などについて触れていく。
【プロフィール】
スプツニ子はサイボーグ/身体拡張/ジェンダー/アイデンティティー/ポップカルチャーなどのテーマを軸に音楽や映像、デバイスの制作をしている『サイボーグ乙女』です。(CBCNETより)
・1985年7月1日東京に生まれる。父親は日本人、母親はイギリス人。両親とも数学者で、本人もインペリアル・カレッジ・ロンドンの数学科および情報工学科を卒業。
・2010年ロンドンRoyal College of ArtDesign Interactions学科修士課程修了。・2007年よりロンドンを中心に音楽やデバイス、映像制作などのアーチスト活動を行う。
・2009年ドラディカル・デザイン(=ドラえもん+ラディカルデザイン)の着想を得る。
・2010年6月末からロンドンRoyal College of Artでの卒業制作発表展「Show Two」で作品が展示される。発表映像作品のひとつ『生理マシーン、タカシの場合。』がヨーロッパなどで反響を呼んだ。(ユーザー投票により「YouTube Video Awards Japan 2010」 の「テクノロジー・乗り物」部門を受賞)
・2011年7月からのニューヨーク近代美術館(MOMA)での企画展「Talk to me」に出展。
・2013年秋よりMITメディアラボの助教に就任予定。
(wikipediaより抜粋)
ハーフで高校は日本のアメリカンスクール、大学はイギリス学士課程・修士課程共にイギリスで過ごす。数学者の両親に育てられて、幼き頃から数学をずっと勉強してきた理系女子であり全く大衆側の人間ではない。様々な点でマイノリティ側に属しているからこそ、鋭く独自の視点で社会を批評する目が培われたのではないか。(イギリスのカルチャーも影響しているだろう)
【スタンス】
スプツニ子!がしたいことは人々の常識を崩すこと。そのために、枠に囚われること無く様々な領域を縦横無尽に駆け巡り、社会の現実的な現象・課題を科学的な観点を含めて入念にリサーチして、把握・再検討する。そのプロセスによって見えてきた新しい観点を一つのコンセプトにまとめあげ、それを一人ではなくチームを率いることで、最も人々の議論を巻き起こせるような大衆に向けたポップ・アートという形で作品を完成させる。あくまで人々の常識を崩すことが最優先であり、自分の考えや「正解」は提示せず、人々が自分自身で考えるきっかけを作る。
このスタンスは下記のようなインタビューから見て取れる
”根底にあるのは常識を崩したいというパンク精神です。常識を崩すというと、奇をてらうことだと勘違いしている人もいるけれど、それは違うと思っています。人が本当にびっくりするのは、常識や現実からほんの少しずれたことが起きた時。常識や現実からかけ離れてしまうと、理解や共感ができなくなってしまうんです。”
”だから、作品を作るときには科学的なリサーチを入念に行い、そこから「これは本当なのかな」と批判的に考えて現状を少しずらすというアプローチを取ることが多いですね。アートに限らずどんな分野でも、新しい発見というのはゼロからは生まれません。すでにあるルールをきちんと見つめ直し、それが本当に正しいのかを疑ってみてやっと次の新しいものが見えてくると思っています。”
”今、私が興味を持っているのはみんなの既成概念を変えるきっかけを作ること。地域格差だったり、ジェンダーの問題だったり、常に社会のバグみたいなものを掘り起こして「これ見なよ」と突きつけるような非常に厄介な人でありたいなと。”
(リクナビ就職ジャーナルより)
【考え方】
スプツニ子!の生み出した考えにドラディカルデザインがある。上記スタンスと重複する部分も多いが、スプツニ子!が考えだした、彼女の考え方を端的に表す概念なので紹介しておく。
ドラディカル・デザインとは「ドラえもん」 と「 ラディカル・デザイン」を組み合わせて作った造語である。
彼女によると「ドラえもん」はその秘密道具から生まれるドタバタ劇を通して、毎週テクノロジーや社会通念、環境問題についてわたし達を考えさせる。それは下記3つの要素を持つクリティカルデザインに、プロダクト周りの世界観、キャラクターや物語を付加したラディカルデザインとそっくりであるとのこと。
<クリティカルデザイン>
1.あるプロダクトを提案/デザインし
2.その使い道を、見る側に考えさせる事によって
3.私達の持つ価値観や道徳、行動、社会について振り返えさせる
そして、スプツニ子!はドラえもんが結末を用意せずに、オープンエンドにして人々が議論したり自分自身で考えられるようになったほうが面白いと考えており、彼女のドラディカルデザインには起承転結の「結」はない。
スプツニ子!によるとこのドラディカルなアプローチを<生理マシーン、タカシの場合>では試したとのことである。(ということはこの作品以外はドラディカルではないのか?)
少し長くなったが、以上がスプツニ子!の紹介である。次回以降は彼女の作品について書いていく。
第二章
「(前近代の文明では、再帰性は依然伝統の再解釈と明確化だけにほぼ限定されており・・・・)しかし近代の社会生活の有す再帰性は、社会の実際の営みが、まさしくその営みに関して新たに得た情報によってつねに吟味、改善され、その結果、その営み自体の特性を本質的に変えていくという事実に見出すことができる」(アンソニー・ギデンズ『近代とはいかなる時代か?』)
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